新聞記事からはじまった、
サービス開発。
『大手自動車メーカーA社、主要部品メーカーにCO2排出量3%減要請へ』2021年6月、中田は朝刊でそんな記事を見つけた。自動車メーカー本体だけではなく、部品を製造するサプライヤーを含めたサプライチェーン全体でCO2を削減するという、新たな動きである。中田はそこに、ビジネスチャンスを感じていた。「普段は太陽光設備の設計を担当しているのですが、春頃からお客さまとのやり取りで“カーボンニュートラル”というキーワードがよく挙がるようになっていました。A社のこの宣言によって、自動車業界のみならず、さまざまな企業の脱炭素化の取り組みがより活発になると感じたんです」同時に、中田はクライアントのことを考えていた。「サプライヤーのCO2排出量を集計するのは、おそらくメーカーの調達部門。大手企業にもなると、300〜400社のサプライヤーの情報を集めなければなりません。でも、仕事で関わってきた調達部門の方々は、どの企業も例外なく今の業務で手一杯。新たな業務が加わることで、仕事が回らなくなることは容易に想像できました」実際にいくつかのメーカーの調達部門にヒアリングしてみたところ、中田の仮説はずばり当たっていた。彼らの負担を減らすために、サプライチェーン全体のCO2排出量を自動集計して“見える化”するクラウドサービスをつくれないか。中田はこのときすでに『EcoNiPass』の青写真を描いていた。