Suzuyo

鈴与商事株式会社

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Project Story 01:EcoNiPass

商社の枠を、
超えてゆけ。

2022年6月、鈴与商事はサプライチェーン全体のCO2排出量を“見える化”するクラウドサービス『EcoNiPass(エコニパス)』をリリースした。当社初となる自社開発のクラウドサービス。鈴与商事の新たな挑戦は、たった2名の社員からはじまった。

Project
Member

Toshiya Nakada中田 俊也

エネルギー
ソリューション
企画販売部
ソリューション企画課
2007年入社

Yu Suzuki鈴木 佑

DXソリューション
営業部
DX企画課
2008年入社

新聞記事からはじまった、
サービス開発。

『大手自動車メーカーA社、主要部品メーカーにCO2排出量3%減要請へ』2021年6月、中田は朝刊でそんな記事を見つけた。自動車メーカー本体だけではなく、部品を製造するサプライヤーを含めたサプライチェーン全体でCO2を削減するという、新たな動きである。中田はそこに、ビジネスチャンスを感じていた。「普段は太陽光設備の設計を担当しているのですが、春頃からお客さまとのやり取りで“カーボンニュートラル”というキーワードがよく挙がるようになっていました。A社のこの宣言によって、自動車業界のみならず、さまざまな企業の脱炭素化の取り組みがより活発になると感じたんです」同時に、中田はクライアントのことを考えていた。「サプライヤーのCO2排出量を集計するのは、おそらくメーカーの調達部門。大手企業にもなると、300〜400社のサプライヤーの情報を集めなければなりません。でも、仕事で関わってきた調達部門の方々は、どの企業も例外なく今の業務で手一杯。新たな業務が加わることで、仕事が回らなくなることは容易に想像できました」実際にいくつかのメーカーの調達部門にヒアリングしてみたところ、中田の仮説はずばり当たっていた。彼らの負担を減らすために、サプライチェーン全体のCO2排出量を自動集計して“見える化”するクラウドサービスをつくれないか。中田はこのときすでに『EcoNiPass』の青写真を描いていた。

使いやすいものを、
低価格で。

「面白いサービスを考えたんだけど、一緒にやらないか?」中田が真っ先に声をかけたのは、DXの部署に所属する鈴木だった。これまでも新規プロジェクトを経験してきた人物である。「鈴木はクラウドサービスの知見が豊富ということもあったのですが、何よりもビジネスの嗅覚が鋭い。彼が『面白い』と言えるものができれば、きっと成功するだろうと考えていました」当時、鈴木は部署異動をしたばかり。何か新しいことを仕掛けたいと画策していた矢先のオファーに、二つ返事で快諾した。「とても興味深かったですね。鈴与商事はあくまで物を仕入れて販売する商社なので、今まで自社開発のクラウドサービスはありませんでした。これは会社としても転機になりそうだと思ったんです」さっそく二人は、デモ画面の制作に取り掛かった。こだわったのは、分かりやすいUIとシンプルな操作性。メーカーの忙しい調達部門の方々に負担をかけないように、機能面に関してもCO2排出量を自動集計して“見える化”するという必要最低限の内容に絞り込んだ。そしてもう一つ、中田はサービスの構想時から決めていたことがあった。「価格です。たくさんの企業に導入していただくために、価格をできるだけ低く設定しようと考えていました。そして、低価格にしたのには別の理由もあります。メーカー本体、さらにはその先にある何百社というサプライヤーが導入すれば、その分、省エネ商材の販売などへとビジネスがつながっていく。目の前の利益ではなく、仕事の広がりをつくるためのサービスにしたいと考えていたんです」機能や価格が決まり、『EcoNiPass』の開発は着々と進んでいった。

売るための道筋をつくる。

「売り方も考えないとな」鈴木は、休憩室で思案していた。「物を仕入れて売ることに関してはプロの鈴与商事も、カタチのない“サービス”を提案する経験はほとんどありません。営業社員に“売り方”まで示さないと、成功は難しいだろうと危惧していました」実際、社内の反応も、需要はあるのか、どうやって利益を生むのか、と皆、懐疑的だった。転機となったのは、中田が持ってきた別プロジェクトの事例だった。「同時期に、あるお客さまで、再生可能エネルギーを導入するお手伝いをしていました。その仕事で2040年までのCO2削減計画を盛り込んだ“ロードマップ”を作成したんです。それは現状のCO2排出量を把握・分析して、太陽光発電システムや省エネ設備などの導入計画を立てるというもの。このロードマップはいろいろなお客さまに応用できます。そこでロードマップにある“現状把握”をEcoNiPassでできないかと考えたんです。そうすれば私たちの得意とする設備販売などの商社の仕事にもつなげられる。ロードマップを活用した総合的なCO2削減提案。これまでの鈴与商事にはなかった考え方でした」そのロードマップを見て、鈴木の顔も晴れやかになった。「面白い。これなら営業も提案しやすいだろう」中田の想いからはじまったサービス開発の、ゴールへの道筋が見えた瞬間だった。

新サービスが、
未来を広げる。

2022年4月。ついに『EcoNiPass』が完成。リリースに先立って、取引先数社でのトライアルがはじまった。評判は上々。「何よりもパソコンの操作に不慣れなお客さまから『ちょっと触っただけですぐに使いこなせるようになった』と言っていただけたのが嬉しかったですね」展示会でも、デモ画面を興味深く見入る人が後を絶たなかった。リリース後には数社から導入の相談も入ってきた。中田の目論見通り、低価格で導入しやすいことが成功の要因の一つになったのである。「“カーボンニュートラル”というキーワードはこの1年でだいぶ市民権を得てきましたが、まだ取り組まれている企業は多くありません。しかし、需要は確実に伸びてくるはず。そのときが本当の勝負です。お客さまを手助けして、営業社員にはビジネスチャンスを与える。そんなWin-Winなサービスにしていきたい。伸び代はまだまだありますよ」一方で鈴木は、すでに別の未来を見据えている。「EcoNiPassによって、鈴与商事はゼロからサービスを開発できるという実績ができました。この経験は、担当しているDXの分野にも活かせるはず。次の新しいことを早くはじめたくてウズウズしてます」二人が成し遂げた偉業。クラウドサービスをゼロからつくり上げたことは、DXに注力する鈴与商事にとって大きな転機となるだろう。商社の枠を超えた挑戦。鈴与商事の新たな可能性が、見えてきた。

Project Story

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