売上が落ち込んでいた、
太陽光発電システム。
「太陽光発電システムがもっと売れる仕組みをつくってほしい」2018年、菅原は専務から直々に、そんな指令を受けた。10年ほど前から、国の施策も手伝って一気に普及した住宅用太陽光発電システム。しかし、2016年のピークを境に、新規導入は年々減少していた。今でこそ、カーボンニュートラルやSDGsの関係で再び注目されてきてはいるが、2018年当時、太陽光発電は明らかに下火。鈴与商事の中でも、存在感の薄い商品の一つになっていた。「一番の障壁は、初期費用の高さです。太陽光発電システムは、設置するのに一つ150万円ほどかかります。発電した電気の買取価格が下落してきたこともあって、『そこまで費用をかけて設置する必要があるのか』という声が増えていました」実際に、戸建住宅を販売・施工する工務店にヒアリングしても答えは同じだった。「どうにかして初期費用を抑えられないか」頭を悩ませていた菅原は、あることを思い出した。「0円ソーラーだ」太陽光発電システムの需要が減っていた当時、メーカーや大手商社などごく一部の企業から、初期費用0円のサービスが出ていた。どういった仕組みなのか、成功しているのかなど、謎が多いサービスではあったが、業界内でも話題になっていた。「リスクはありそうだが、売上が落ち込んでいるこの状況を打破するには、0円ソーラーしかない。鈴与商事でもやってみよう」菅原は、後輩の岡本と設計担当の戎に声を掛けた。