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鈴与商事株式会社

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Project Story 03:0円ソーラー

太陽光に、
もう一度、光を。

太陽光発電システムを戸建住宅に初期費用0円で設置できる、通称『0円ソーラー』。この新たな施策をつくり上げ、需要が落ち込む住宅用太陽光発電システムの起死回生を図ったのは、3名の社員だった。

Project
Member

Takashi Ebisu戎 高司

くらしサポート販売部
太陽光システム営業課
2008年入社

Keita Sugawara菅原 敬太

くらしサポート販売部
太陽光システム営業課
2004年入社

Shunya Okamoto岡本 駿也

くらしサポート販売部
太陽光システム営業課
2013年入社

売上が落ち込んでいた、
太陽光発電システム。

「太陽光発電システムがもっと売れる仕組みをつくってほしい」2018年、菅原は専務から直々に、そんな指令を受けた。10年ほど前から、国の施策も手伝って一気に普及した住宅用太陽光発電システム。しかし、2016年のピークを境に、新規導入は年々減少していた。今でこそ、カーボンニュートラルやSDGsの関係で再び注目されてきてはいるが、2018年当時、太陽光発電は明らかに下火。鈴与商事の中でも、存在感の薄い商品の一つになっていた。「一番の障壁は、初期費用の高さです。太陽光発電システムは、設置するのに一つ150万円ほどかかります。発電した電気の買取価格が下落してきたこともあって、『そこまで費用をかけて設置する必要があるのか』という声が増えていました」実際に、戸建住宅を販売・施工する工務店にヒアリングしても答えは同じだった。「どうにかして初期費用を抑えられないか」頭を悩ませていた菅原は、あることを思い出した。「0円ソーラーだ」太陽光発電システムの需要が減っていた当時、メーカーや大手商社などごく一部の企業から、初期費用0円のサービスが出ていた。どういった仕組みなのか、成功しているのかなど、謎が多いサービスではあったが、業界内でも話題になっていた。「リスクはありそうだが、売上が落ち込んでいるこの状況を打破するには、0円ソーラーしかない。鈴与商事でもやってみよう」菅原は、後輩の岡本と設計担当の戎に声を掛けた。

終わりの見えない
シミュレーション。

まず取り組んだのは、収益モデルづくりだった。三人は検証を重ね、“発電した電気のうち、住宅で消費する以外の余った電気を鈴与商事が売電する”という手法に行き着いた。その売上で、太陽光発電システムの設置費用を回収しようと考えたのだ。収益モデルの大枠はできたが、問題は地域ごとに収益性に差がでる点をどうするか。日射量は地域によって異なり、その影響で発電量に差が出てしまう。そのため、設置費用を回収するには地域ごとに設置条件や課金などを設定しなければならなかった。販売エリアである静岡、山梨、愛知、長野のすべてで適正な収益が上がるように、シミュレーションする必要がある。担当したのは岡本。「気象庁が定める日射量の観測地点ごとにシミュレーションするのですが、その地点が100以上あったんです」日射量と発電量を算出し、どのくらいの収益が見込めるかを試算する。さらに、設置費用も考慮しなければならなかった。設置費用を算出したのは、戎だった。「厄介なのは、設置費用も地域によって変わること。積雪量の多い地域や海岸沿いの地域では、施工費が高くなってしまうんです」観測地点ごとに何パターンも検証していく岡本と戎。「永遠に終わらないんじゃないかと思っていました」岡本は当時を振り返る。実際に、検証には半年もの時間を費やした。そしてついに、すべての地域でのシミュレーションが終わり、収益モデルが完成。鈴与商事の『0円ソーラー』ができあがった。

0円がつくり出した壁。

2019年6月、菅原は、住宅の販売・施工を担当する工務店数社に0円ソーラーを紹介した。「お客さまに実際に提案するのは、私たちではなく地域にある工務店さま。工務店さまがどんな反応をするか楽しみでした」説明を聞いた工務店の反応は悪くなかった。「これなら売りやすい」「住宅を提案するときの武器にもなる」そんな言葉を聞いて、菅原は成功を確信した。2019年8月、テスト販売を開始。当初の予定では静岡県のみでの実施だったが、山梨や愛知の支店からも「ぜひやりたい」と声が上がった。「『やりたい』と言ってくれたのは嬉しかったですね。それだけ0円ソーラーに期待してくれているということですから。企画冥利につきますよ」設計担当の戎も、この状況を見て「これは忙しくなりそうだ」と期待に胸を膨らませていた。しかし、蓋を開けてみると、一部の工務店から「営業担当やお客さまが、怪しがって採用しようとしない」という答えが返ってきた。0円ソーラー自体がまだ世に知れ渡っておらず、“タダより高いものはない”という言葉があるように、0円であることが導入のハードルを上げてしまったのである。「0円ソーラーは怪しくない。お客さまに大きなメリットがある商品なんだ」原因は、仕組みを理解されていなかったこと。営業担当者を通じて取引のあるすべての工務店さまに0円ソーラーの仕組みを丁寧に説明してもらった。「ちゃんと話をしたら、皆さん納得してくれました。中にはオプションではなく、基本設計に盛り込んでくれる工務店さまもいらっしゃいました」誤解はとけた。勝負はここからである。

太陽光の、鈴与商事の、
未来は明るい。

2年目。三人の努力がついに結果として表れてきた。導入件数は有料の太陽光発電システムの約2倍。さらにこれまで取引のなかった工務店からの問い合わせも増え、販売網も倍になった。工務店の営業担当からも「お客さまに大好評で、家を提案しやすくなった」という声もたくさん寄せられた。設計担当の戎は、多忙を極めている。「嬉しいですよ。まるで全盛期の忙しさが戻ってきたようです。太陽光発電システムは、しばらく日の目を見ない存在でした。それがもう一度、光が当たるようになった。毎日が充実していますね」岡本も、この結果に満足げである。「太陽光発電システムがまた盛り上がってきたという実感があります。正直に言うと、皆、シミュレーションの段階では『上手くいくのか?』と不安でいっぱいでした。でも、そんなときに専務に『ここまで頑張ったんだから、たとえ失敗しても誰にも文句は言わせない。思いっきりやってみろ』と背中を押していただけた。諦めなくてよかったですね」太陽光発電システムの起死回生をかけたプロジェクトだっただけに、会社からの期待は大きかった。しかし、三人はプレッシャーを跳ね除け、見事にやり遂げたのである。カーボンニュートラルやSDGs、蓄電池・電気自動車の普及…。0円ソーラーのニーズは、今後もますます高まっていくだろう。社内でもほとんど注目されていなかった太陽光発電システムは今、鈴与商事の未来を明るく照らしている。

Project Story

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