Suzuyo

鈴与商事株式会社

Entry

Project Story 02:再エネ100宣言
RE Action

2040年を
目指して、繋ぐたすき

お客さまは静岡県にある中高一貫校。使用電力を再生可能エネルギーに100%転換する取り組み『再エネ100宣言 RE Action』に参画している学校である。再エネ比率100%に向けての2040年までの計画をプロデュースしたのが、鈴与商事だった。

Project
Member

Sachi Osaka大坂 紗知

エネルギーシステム
営業部
電力営業課
2013年入社

Keita Oyaizu大柳豆 慶太

浜松支店
エネルギーシステム課
2005年入社

Kengo Kimura木村 謙吾

浜松支店
エネルギー
ソリューション課
2004年入社

消えかかった光。

同校と鈴与商事との取引がはじまったのは2014年。電力契約切り替えの提案を実施し、成約したことがきっかけだった。以来、電力販売のみの取引であったが、前任から担当を引き継いだ大坂は取引の幅を広げたいと考え、提案を続けてきた。そして2019年に、念願かなって受電設備の点検業務を受注。これを機に取引を拡大しようと計画していた大坂だったが、ある日、学校から思いもよらない話を聞かされた。「他の小売電気事業者から学校に、二酸化炭素を排出しないCO2フリーの電力の提案があったらしいんです。もし採用されれば、当社の新電力の契約は打ち切り。仕事が広がるどころか、関係性が途切れてしまう可能性が出てきました」同校はSDGs部という部活があるほど環境問題への意識が高い。特に校長の熱心さは教育界でも有名で、学校法人としては珍しく『再エネ100宣言 RE Action』という取り組みにも参画していた。大坂は先輩である大柳豆に相談し、二人で理事長・校長のもとに足を運んだ。話を伺う中で、『再エネ100宣言 RE Action』に参画し、2040年に再エネ比率100%、まずは2025年までに25%を目標としているが、何から手を付けていいか分からない状況だということが分かった。鈴与商事で何かお手伝いできないかとヒアリングを続ける二人。すると先方から「今度、体育館を新設するから、そこに太陽光発電システムを搭載できないか?」と相談を持ちかけられた。取引継続の可能性が、わずかに生まれた。

三者の思惑。

さっそく二人は会社に戻り、太陽光発電システムの提案資料づくりに取り掛かる。提案資料の作成を担当したのは大柳豆である。「調べてみると体育館や校舎の屋根形状だとそれほど多くの太陽光パネルを設置できないことが分かりました。そのため、太陽光発電システムだけでは2025年の再エネ比率25%には届きません。でも、まずはきっかけづくり。この提案を採用してもらうことが重要事項でした」大坂と大柳豆、上長にあたる福地支店長、そして設計担当の中田の四人で、商談へと向かう。学校側からは理事長と校長、学校運営を任されている事務担当者の三名が参加した。校長の反応はまずまず。しかし、理事長と事務担当者の表情は曇っていた。「学校が、教育以外のことにお金を掛けるのは本分ではないと思っている」「太陽光より、古くなった照明や空調設備をなんとかしたい」二人とも、太陽光発電システムの導入に納得していない様子である。特に、学校を運営している事務担当者は、生徒のために学校の設備更新を優先するべきだと反対の姿勢だった。環境教育に取り組みたい校長。経営者としてお金を管理する理事長。現場を何よりも優先したい事務担当者。三者それぞれに想いがあり、結論が出ないまま商談の終了時刻が近づいてくる。提案は失敗だった。

2040年までの
ストーリーを描く。

「中田、どうする?」商談からの帰り道、大柳豆は中田と今後の対応を協議していた。このままだと、学校との取引がなくなってしまう。すると、中田から思いも寄らぬ提案があった。「鈴与商事で、全部プロデュースしましょう」中田の考えはこうだ。そもそも太陽光発電システムだけでは2025年の再エネ比率25%には届かない。それならば、学校の設備をLED照明や省エネ性能の高い空調に更新して、消費エネルギーを抑える提案も盛り込めばいい。再エネ比率100%を達成する2040年までに、どのタイミングで何をすればいいのか、鈴与商事がストーリーを描いて、トータルプロデュースしようという作戦である。さらに大柳豆が調べてみると、ある仕組みを使えば太陽光発電システムの初期費用を無償にできることが分かった。環境問題に取り組めて、コストも抑えられて、学校設備も更新できる。校長、理事長、事務担当者すべての要望を叶えられる提案。これならきっと上手くいく。大柳豆は学校の消費エネルギーの構成を調べ、2040年まで、年度ごとにどんな取り組みをすればいいのかを記した“ロードマップ”を作成。提案書をつくり、学校に向かった。大柳豆の提案を興味深く聞く、理事長と校長、事務担当者。提案が終わると、理事長がひと言。「ぜひともやりたい」提案は成功した。そして、鈴与商事が学校の『再エネ100宣言 RE Action』の達成を全面的にプロデュースするという協定書が結ばれた。しかし、ロードマップの通りに進めていこうとしていた矢先に、大柳豆に異動の辞令が出てしまう。引き継いだのは、木村だった。

環境問題に立ち向かう、
パートナーとして。

「照明や空調設備の業者は入札で決定…?」大柳豆から渡された提案書を読んで、木村は落胆していた。学校と鈴与商事は協定を結んでいたが、それはあくまで『再エネ100宣言 RE Action』の達成をプロデュースするという内容。実際に照明や空調設備を更新する際のパートナー企業は、その都度、入札で決定する話になっていた。教育機関として公平を期すという、学校側の考えからだった。そして協定締結から1年後、ロードマップの通り、設備更新のタイミングがやってきた。もちろん、入札である。「大坂、大柳豆と引き継いできた襷を、ここで止めるわけにはいかない」1円でも金額を下げられるように、設備メーカーや施工会社と価格交渉する。さらに、提案書にプラスアルファの内容も盛り込んだ。「SDGsの話です。今回の設備の更新がどの目標にリンクしているかも記載しました。この学校はSDGs部が部活として活動しており、環境大臣とウェブで意見交換するほど、環境問題に関心が高い。共に取り組むパートナーとして鈴与商事がいかに相応しいかという想いを提案書に込めました」その想いは、学校側に届いた。鈴与商事が選ばれたのである。現在、導入に向けて協議中。完了すれば、再エネ比率25%に向けて大きく前進する。単なるクライアントと商社という関係性ではなく、ともに環境問題に立ち向かうパートナーとなった同校と鈴与商事。最終的な目標は、2040年の再エネ比率100%。まだまだ、道のりは長い。この襷(たすき)は、未来の鈴与商事の社員へと引き継がれていく。

Project Story

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