消えかかった光。
同校と鈴与商事との取引がはじまったのは2014年。電力契約切り替えの提案を実施し、成約したことがきっかけだった。以来、電力販売のみの取引であったが、前任から担当を引き継いだ大坂は取引の幅を広げたいと考え、提案を続けてきた。そして2019年に、念願かなって受電設備の点検業務を受注。これを機に取引を拡大しようと計画していた大坂だったが、ある日、学校から思いもよらない話を聞かされた。「他の小売電気事業者から学校に、二酸化炭素を排出しないCO2フリーの電力の提案があったらしいんです。もし採用されれば、当社の新電力の契約は打ち切り。仕事が広がるどころか、関係性が途切れてしまう可能性が出てきました」同校はSDGs部という部活があるほど環境問題への意識が高い。特に校長の熱心さは教育界でも有名で、学校法人としては珍しく『再エネ100宣言 RE Action』という取り組みにも参画していた。大坂は先輩である大柳豆に相談し、二人で理事長・校長のもとに足を運んだ。話を伺う中で、『再エネ100宣言 RE Action』に参画し、2040年に再エネ比率100%、まずは2025年までに25%を目標としているが、何から手を付けていいか分からない状況だということが分かった。鈴与商事で何かお手伝いできないかとヒアリングを続ける二人。すると先方から「今度、体育館を新設するから、そこに太陽光発電システムを搭載できないか?」と相談を持ちかけられた。取引継続の可能性が、わずかに生まれた。