イノベーションストーリー
CASE#01

世界から選ばれる港へ。その第一歩を、私たちから。

清水港を、世界から選ばれる「環境にやさしい港」へ。
前例の少ない技術に挑み、地域のくらしと未来を変えようとするプロジェクトがあります。
その道のりは決して派手なものではなく、地道な一歩の積み重ねで困難を越えてきた——。
その中心に立つ二人の「クサノネイノベーター」に、挑戦の裏側を伺いました。

PROJECT MEMBER

  • 小林 哲男の写真

    太陽光システム営業部部長

    1998年入社

    小林 哲男

  • 鈴木 健資の写真

    エネルギーシステム営業部企画課長

    2008年入社

    鈴木 健資

「成功させなければ」
プレッシャーと戦った日々

——清水港 日の出地区 地域エネルギー供給プロジェクトの概要を教えてください。

小林

2030年カーボンニュートラル化を目指すため、静岡県および静岡市の取り組みと連動して始まったプロジェクトです。平常時は、エリア内で発電した再生可能エネルギーの地産地消を目指し、災害時に停電した際には、地域内で自立的に電力供給できるようにする地域マイクログリッドの仕組みづくりです。

清水港周辺の「日の出地区」にある法人所有建物の屋根等を活用し、当社が初期投資費用を負担して太陽光発電設備や建物に併設する蓄電池を導入しています。お客様は設備を購入することなく、発電した再生可能エネルギーを利用できる仕組み(PPA方式)です。さらに、地区内には地域全体のエネルギー活用を支える大型蓄電池を設置し、再生可能エネルギーの有効活用と安定的な電力供給を実現しています。

——同プロジェクトを成功させることで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

鈴木

これまでは、船が港に停泊している間、ディーゼルエンジンを動かして電力を確保していました。しかし欧州を中心に環境規制が強まり、CO₂を出さない港が選ばれる流れが生まれています。

清水港が、世界に「CO₂を出さない港」と認知されれば、船舶会社や荷主企業から選ばれる港になっていく可能性があります。そうすれば物流が活性化し、地域経済にも良い影響を与えます。今回のプロジェクトは、そのための基盤づくりだと思います。

小林

私たちが目指したのは、清水港が発展し続けられる環境づくりです。港が発展し、地域全体にメリットをもたらして初めて意味があります。その未来につながる取り組みだと思っています。

——そのような大きなプロジェクトの担当になると知ったとき、どう感じましたか?

小林

正直なところ、プレッシャーを感じました。私は、弊社が太陽光事業を始めた2012年から、同事業に携わってきました。その流れでプロジェクトメンバーに選ばれたのですが、大きな事業だったので「失敗できない」「絶対に成功させなければ」という気持ちが強かったですね。

鈴木

当時、私も小林と同じ太陽光事業部にいました。補助制度を活用しながら、通常で実現できない仕組みをつくれる。「面白そうなことが始まるな」という感覚でした。ただ進めていく中で責任の重さを感じることが増え、最終的にはプレッシャーの方が大きくなりました。

——その中で、お二人の役割分担はどうなっていたのでしょうか。

鈴木

私は企画・構想の部分から携わり、最初のころは「2030年に向けてどのようなエネルギーシステムを構築するか」という青写真を描く役割でした。

その後、実装フェーズに入ってからは、大型蓄電池やEMS(エネルギーマネジメントシステム)を担当しましたが、私自身がシステムを開発したというより、どのような機能や運用方法が必要なのかを整理し、電力会社や専門家、システム会社などと議論しながら、納得できる仕組みへと進めていく立場でした。

小林

私は主に太陽光発電設備や蓄電池の設置を実現する実装側を担当していました。企画として描かれたものを、実際の設備としてかたちにするのが私の役割です。

工事会社の選定や工程管理、お客様との調整などを担当していたので、現場に近い立場でプロジェクトを進めていました。

とくに工事が始まってからは、関係者との調整が非常に多く、スケジュール管理やリスク対応に追われる毎日でしたね。

前例のないプロジェクトにおける、
壁と突破口

——プロジェクトを進める中で、一番大変だったことを教えてください。

小林

関係者との合意形成ですね。太陽光パネルや関連設備を設置するためには、地域内の複数の建物所有者や関係企業、清水港湾関係者のご理解とご協力が欠かせません。何度も説明や打合せを重ねながら、その合意形成に約1年を要しました。

この取り組みの一番の目的は脱炭素です。ただ、環境への貢献だけでは、導入の決め手にはならないんですよね。現場の方からすると、設置するメリットがよくわからず、むしろ設置への不安を抱く方も多くいらっしゃいました。

多くの企業は、環境への貢献だけでは動きません。経済的なメリットが求められるので、そのバランスをどう実現するかが、一番苦労しました。

工事会社のスケジュール調整も簡単ではなく、物価上昇により価格も変動します。その結果、お客様との契約条件や予算の見直しも必要になってきます。一つのズレが全体に波及するので、その調整にも多くの時間と労力を要しました。

——どのように乗り越えていったのでしょうか。

小林

一つひとつ、対面で向き合いました。この取り組み自体が初めてで、お客様とのお付き合いも初めてです。「本当にそんなにうまくいくのか」と疑われるのは当然だと思っていました。だからこそ、何度も足を運び、膝を突き合わせて話をすることで信頼を得ていきました。

——その際、どのようなことを伝えて理解してもらったのでしょうか?

小林

まずは「私たちは何を目指しているのか」を明確に伝えました。そして、その取り組みが企業にとってどんなメリットがあるのかも、あわせてお伝えしました。また、事前にリスクの洗い出しを徹底的に行い、想定される質問を整理したうえで対応しました。

その中でも意識したのは、こちらの考えを押し付けないことです。そのため、できるだけ真意が伝わりやすい対面でお話しすることを大切にしていました。実際に工事が始まってからは、担当者がほぼ毎日のように関係者のもとへ足を運んでいました。

鈴木

私も、立場の異なる関係者の意見をまとめながら、事業として成立する仕組みをつくることに苦労しました。有識者やメーカー、電力会社など、多くの関係者と議論を重ねながら、一つひとつ形にしていきました。

また実装フェーズでは、電力需給のバランスをとるために必要な、エネルギー管理システム「EMS(エネルギーマネジメントシステム)」の設計が大変でした。

システムの流れとしては、太陽光パネルの発電量や電力使用状況をEMSで予測・分析します。そして「蓄電池」の充放電のタイミングを制御して、適切な電力供給となっていくわけです。

そのため、EMSの設計は、このプロジェクトの成功を左右する存在でした。しかし当時は、地域マイクログリッド向けのEMSがほぼなく、実際に稼働している事例は、さらに少ない状況でした。

住宅用の蓄電池であれば、メーカーが組んだプログラムによって自動で運転されます。しかし産業用の大型蓄電池は、どのタイミングで電気を蓄え、いつ、どれくらい放電するのかを自分たちで設計しなければなりません。

何度もシミュレーションした結果、日中に太陽光発電の余剰電力を蓄電池に蓄え、お客様の需要に合わせて少しずつ電気を供給する。その運用が最も経済的だという結論にたどり着きました。

——最終試験運転当日のことを、覚えていますか?

鈴木

もちろんです。2026年2月に最終試験を実施したのですが、その前日は本当に緊張しました。「もし失敗したら、どうやって説明しようか」と考えていたくらいです。

一緒に取り組んでいた方も「前日は眠れなかった」と話していました。

無事に試験が成功したときは、肩の荷が下りた思いでしたね。長い時間をかけて積み上げてきたものが、ようやくかたちになった瞬間でした。

小林

私も、ほっとしました。多くの企業に協力していただいて、太陽光パネルを設置していただいています。だからこそ、最終試験の成功は本当にうれしかったです。

——仕事を通じて、お二人はお互いのことを、どのように感じていたのでしょうか?

鈴木

小林部長は実行フェーズの責任者をされていて、とても信頼していました。プロジェクトでは計画通りに進まないことも多く、現場から厳しい声が上がることもありました。しかし、問題を一つひとつ解決しながら、最後まであきらめずにかたちにしてくださる存在でしたね。

小林

私は、困ったときに鈴木課長によく相談していました。曖昧な答えではなく「こうした方がいい」「これはやめた方がいい」とはっきり判断してくれるので、とても助けられました。

鈴木

振り返ると、このプロジェクトには二つのフェーズがあったように思えます。企画段階では、県や市の担当者の方々と「将来こんな港にしたいですよね」という未来の話がでました。

しかし実行段階になると、相手は現場の方々になります。すると「将来の話よりも、今日の業務に支障が出ないか」「設備を載せて大丈夫なのか」という視点になるんです。

どちらも正しい意見です。だからこそ、理想論だけでは進めずに、現場目線での課題にも一つずつ向き合う必要がありました。

そして向き合う際には、「相手にどんなメリットがあるのかを示すこと」を大切にしています。やはり「お願い」だけでは、相手は納得してくれません。何かしら相手の得になることがないと難しいですよね。

「できない理由」より、
「どうすればできるか」

——プロジェクトを通して、自分の中で変わったことや気づきはありましたか?

小林

合意形成の大切さを改めて実感しました。企画段階では、「きっとうまくいくだろう」と考えてしまいがちです。しかし実際には、それぞれの立場や事情があります。だからこそ、一人ひとりに丁寧に説明し、理解していただくことが重要だと学びました。手を抜いてはいけない部分だと思います。

鈴木

正直にお話しすると、実は途中、このプロジェクトからどうやって抜けようかと考えていたんです。2022年ごろは、ゴールもよく見えず、本当に実現できるのかもわからなかった。だから「理由をつけて、できませんと言おう」というシナリオまで、頭の中で描いていたくらいです。

ただ、周囲は違いました。小林部長をはじめ、一緒に動くメンバーはみんな、「できない理由」ではなく「どうすれば実現できるか」を考えて動いていたんです。

やめてしまうのは簡単ですし、やらない理由なんていくらでもつくれます。その周囲の姿を見ているうちに「自分もそうでなければ」と思うようになりました。視点ひとつ、気持ちひとつで、物事の見え方は大きく変わる。今では、まず「実現するにはどうしたらいいか」から考える癖がついたと思います。

——プロジェクトが成功した秘訣は、どこにあると思いますか?

小林

よく「チームワークで乗り越えました」と言いますが、正直それだけではなかったと思っています。意見がぶつかることもありましたし、現場と企画で考え方が違うこともありました。ただ、誰も途中で投げ出さなかった。

「あいつのせいだ」と言うのではなく、「じゃあどうするか」を考え続けたんです。

何か失敗しても、責める人はいませんでした。「やらかしたな」と悪く言うのではなく、「この人が責任を持ってやっているから、最後まで付き合う」と腹をくくってくれている人ばかりでした。

そういう意味で、プロジェクトメンバーが良かったのかなと感じていますね。

また、多くの方々からの協力があったから成功できました。とくに地域マイクログリッドの実現には、大学の教授や開発会社の方々にも協力していただきました。

鈴木

そうですね。困ったときは相手の目線に立ち「成功させるために、どうしたらいいか」を考えてくれる人たちばかりです。だから、そこに向かって頑張ろうと思える。

たぶん先輩がそういう方々なので、後輩にもいい流れがつながっているのだと感じます。

——鈴与商事で働き続ける面白さは、どの点にあると思いますか?

小林

一気通貫で仕事ができることだと思います。私はこれまで立ち食いそば事業、中国ビジネス、食品輸入、太陽光事業など、数百円単位の商品を足で稼ぐ仕事から、企画を練る仕事、事業戦略的に動ける仕事まで幅広く経験させてもらいました。

一つの業務だけを続けるのではなく、さまざまな挑戦ができる環境があります。

その経験が今の仕事にも生きていますし、「次は何ができるだろう」と考えられるのが面白いですね。

また、失敗を恐れず挑戦できる環境もあります。もちろんルールを守ることは大前提ですが、挑戦した結果の失敗であれば、一緒に解決策を考えてくれる人が多いですね。

鈴木

私は「新しいことに挑戦できる環境」だと思っています。私も入社以来、2〜4年ごとに担当業務が変わっています。

そのたびに新しい分野へ挑戦させてもらい、「期待して任せてもらっている」と感じます。仕事では、途中で投げ出さず、ゴールまで粘り強く考えるようにしています。正解を一つに決めつけず、難しそうであれば「こちらのパターンはどうですか?」と変化球を示す柔軟性も意識しています。そうした点を評価いただけているのかもしれません。期待されることはプレッシャーでもありますが、それ以上にやりがいになっています。

——では今後、どのような方と一緒に仕事がしたいと思いますか?

鈴木

最後までやり抜ける人ですね。正解が見えない仕事もたくさんあります。そんなときでも、「どうしたら実現できるか」を考え続けられる人。そして、一つの方法に固執せず、別の選択肢も考えられる柔軟な人。そういう方と一緒に働きたいですね。

鈴与商事は、さまざまな経験ができる会社です。仕事をする中で、何か問題が起きても、個人任せにせず、絶対に誰かがフォローしてくれます。のびのびと仕事ができる環境だと思います。

小林

私は誠実な方と一緒に仕事がしたいですね。私は営業担当者として、「嘘をつかないこと」を大切にしています。目先の利益ではなく、お客様と長く信頼関係を築いていくことが大事です。だからこそ、相手に誠実に向き合える人と一緒に働きたいです。

鈴与商事は、ルールを守ったうえで挑戦でき、たとえ失敗してしまっても責める人はいない会社です。なぜなら、失敗しても挽回できることを知っているからです。誠実に対応すると、その後に取引が2倍、3倍に広がったケースを何度も見てきました。

だからこそ、失敗を恐れずに挑戦できる方なら、鈴与商事は楽しめる会社だと思います。

<span>世界から選ばれる港へ。</span><span>その第一歩を、私たちから。</span>

会社紹介・採用情報・福利厚生

  • 会社案内 p.1
  • 会社案内 p.2
  • 会社案内 p.3
  • 会社案内 p.4
  • 会社案内 p.5
  • 会社案内 p.6
  • 会社案内 p.7
  • 会社案内 p.8
  • 会社案内 p.9
  • 会社案内 p.10
  • 会社案内 p.11
  • 会社案内 p.12
  • 会社案内 p.13
  • 会社案内 p.14
  • 会社案内 p.15
  • 会社案内 p.16
  • 会社案内 p.17
  • 会社案内 p.18
  • 会社案内 p.19
  • 会社案内 p.20
  • 会社案内 p.21
  • 会社案内 p.22
  • 会社案内 p.23
  • 会社案内 p.24
  • 会社案内 p.25
  • 会社案内 p.26
  • 会社案内 p.27
  • 会社案内 p.28
  • 会社案内 p.29
  • 会社案内 p.30
  • 会社案内 p.31

1/31

募集要項・エントリー